薬物療法
炎症や痛みが治まらないと理学療法(運動療法、温熱療法、装具療法、牽引療法など)が行えません。
痛みがひどい時には、痛みをとるための薬物療法が行われます。
医療機関で処方される主な薬
◆非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs(エヌセイズ)、COX-2阻害剤など) |
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患部の炎症を抑え、痛みを和らげる薬。薬物療法で最も使われる薬で、内服薬と坐薬などがあります。 中でも使用頻度が高いのがNSAIDsという種類の痛み止めで、飲み薬と湿布薬があります。 COX-2阻害剤は作用が似ていますが、胃腸が弱い人に向いています。 通常は内服薬が処方されますが、内服薬は胃の粘膜が荒らされることがあるため、胃腸薬とともに処方されます。内服薬で痛みが治まらない時や即効性が求める時は、坐薬も使われます。 |
◆アセトアミノフェン |
解熱鎮痛剤の一種。NSAIDsより若干効果は弱いですが、副作用が起こりにくいという利点があります。 副作用としては、まれに肝機能障害が見られます。 |
◆筋弛緩薬 |
筋肉のハリや緊張によって起こる痛みがあるときに処方されます。 急性腰痛に効果がありますが、眠気や口の渇き、ふらつきなどの副作用があります。 |
◆神経障害性疼痛緩和薬 |
神経障害による痛みに用いられる薬。神経の伝達物質の放出を押さえることにより、鎮痛効果が得られます。 眠気、めまい、むくみなどの副作用があり、高齢者では転倒を招く可能性があるため注意が必要です。 腎臓機能が低下している人には慎重に使われます。 |
◆生物組織抽出物(ノイロトロピン) |
神経痛に使われる薬。痛みの神経の感受性を低下させ、痛みを和らげます。 あまり重症でない慢性腰痛に効果があります。 副作用が極めて少ないのがこの薬の利点です。 |
◆オピオイド |
他の薬では抑えられない痛みに用いられます。強力な鎮痛作用があり、医師の指示の厳守して使う必要がある薬です。 便秘や悪心、嘔吐などの副作用があります。 |
◆血流改善薬 |
血管をゆるめて、血流をよくする薬。筋肉の緊張が強い場合に用いられます。 |
◆睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬 |
ストレスや緊張、痛みが続くことによるうつ状態など、精神的な不調が腰痛に関わっている時に用いられます。神経に作用するため、鎮痛効果も大きいです。 眠気や吐き気などの副作用があります。 |
◆ビタミン剤 |
神経障害が見られる場合、神経の損傷を回復する効果があるビタミンBなどの内服薬が処方されます。 |
◆湿布薬 |
非ステロイド性消炎鎮痛薬の成分が含まれているものや、冷または温効果がある湿布が処方されます。 |
他にも、抗てんかん薬、骨粗しょう症治療薬、漢方薬などもあります。
一口メモ:非ステロイド性消炎鎮痛薬による副作用を防ぐためには
痛み止めとして広く使われている非ステロイド性消炎鎮痛薬は、高い頻度で胃腸障害を起こします。
痛み止めの薬を飲んで胃が痛くなったことがある方は、事前に医師にそのことを伝えておきましょう。
また薬を飲んで症状が出た時は、すぐに医師に相談してください。