腰椎症(腰部脊椎症)
中高年になると、特に思い当たることもないのに慢性的な腰痛に悩まされることが多いです。
そのような場合、まず考えられるのが「腰椎症(腰部脊椎症)」です。
年をとると、背骨にも様々な加齢変化が起こります。腰椎の様々な変性・変形により慢性的な腰痛が現われます。
・腰部椎間板症 |
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加齢により、椎間板が変性して起こります。 |
骨が老化してくると、椎体の椎間板境界部に(骨棘:こっきょく)ができます。骨棘はもともとなかった骨なので、老化の目安になります。
・変形性腰椎症 |
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腰部椎間板症がさらに続くと、椎間関節の軟骨がなくなり、椎体だけでなく椎間関節の縁にも骨棘ができます。これが「変形性腰椎症」です。 |
これら骨棘は脊柱管の方にも出っ張るので、「腰部脊柱管狭窄症」の一因ともなります。また、椎骨の変形が大きく、背骨が曲がって、「腰椎変性後側弯症」につながることもあります。
こんな人は注意
・中高年になって、慢性的に腰痛があるようになった。 |
・肉体労働をしている。 |
・スポーツを続けてきた。 |
腰椎症(腰部脊椎症)の基本的な症状は腰痛です。痛みが強くなったり、軽くなったりを慢性的に繰り返します。
特に起床時や起き上がるときなど、動き始めた時、痛みが出るのが特徴です。
治療方法
治療は、痛みの程度によって異なります。
椎骨や椎間板に変形があっても、腰痛が軽くて、日常生活に支障がない場合は、経過観察します。体を反らせたり、重いものを持ち上げたり、痛みを招く動作をできるだけ控え、無理のない範囲で腰痛体操などを行い、筋力を鍛えます。
一方痛みが強く、日常生活に支障をきたしている場合は、保存療法が行われます。
保存療法
◆薬物療法 |
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痛み止めの非ステロイド性消炎鎮痛薬が主に用いられます。 |
◆装具療法 |
コルセットを用いて、無理な動きを制限し、正しい姿勢を保ちやすくします。 |
◆物理療法 |
温熱療法や電気療法などが行われます。 |
◆運動療法 |
腰のストレッチや、背筋、腹筋、背筋、お尻などの体操で筋力をつけます。 |
◆ブロック療法 |
特に痛みの強い時に、居所麻酔薬を注射します。 |
手術療法
腰部脊柱管狭窄症や腰椎変性後側弯症が起きてくれば、手術を検討することがあります。
しかし、腰椎症(腰部脊椎症)だけで手術が行われることはほとんどありません。
腰椎症(腰部脊椎症)は40代から増え始め、高齢になるほど多くなってきます。
適度な運動を続け、姿勢を良くすることを心がけることである程度防ぐことができます。毎日の体操、ストレッチが大切です。