骨粗鬆症
骨粗鬆症(骨粗しょう症)とは、骨を構成している組織の密度が低下し、骨がスカスカになった状態のことです。高齢者の腰痛の大きな原因の一つになっています。
骨は新陳代謝をくり返し、古くなった骨を破壊し(骨吸収)、新たな骨を再生(骨形成)しています。しかしカルシウムなどが減少すると、骨の破壊が再生を上回ってしまい骨密度が低下。骨がもろくなり、折れやすくなります。
・若い頃と比べ、身長が3cm以上縮んだ。 |
・背中や腰が曲がってきた。 |
・食事がのどを通りにくい。 |
・あお向けに寝ることができない。 |
骨粗鬆症になりやすいのは、高齢の女性です。
女性は男性と比べ骨量が少ないうえに、閉経後に女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少します。女性ホルモンには骨吸収を抑え、骨形成を促す作用がありますが、これが閉経により減少することでバランスが崩れてしまいます。
また運動不足や偏食なども原因になります。
骨粗鬆症は全身の骨に起こります。
骨粗しょう症になってもすぐに症状が現われるわけではありません。しかし骨がもろいので、軽い転倒や打撲でも骨折、圧迫骨折を起こしやすくなります。また重いものを持つ、くしゃみをするなどの些細なきっかけで腰椎に負担がかかり、押しつぶされ圧迫骨折を起こします。
圧迫骨折の程度が激しい時は患部に急性の痛みが現われますが、もろくなった骨が徐々につぶれて起きた場合は、慢性的な鈍痛が続いたり、背中が曲がったりします。多くの場合、骨が固まると痛みが消え、高齢者の場合、骨折の痛みを感じないことも少なくありません。
圧迫骨折は本人の自覚症状が乏しい場合があるので、家族や周囲の人が姿勢や身長の変化に気をつけてあげましょう。
脊柱変形を調べるテスト
壁にかかと、お尻、背中をつけて立ち、後頭部が壁につかない場合は、背骨が変形しています。
高齢者では圧迫骨折をきっかけに寝たきりになることもあるので注意が必要です。
治療方法
治療は保存療法が中心です。
圧迫骨折と骨粗鬆症(骨粗しょう症)の治療を平行して行います。
圧迫骨折の治療方法
圧迫骨折の治療は、薬物療法や装具療法といった保存療法が中心です。軽度であれば3~4週間ほどで自然治癒します。
保存療法を行っても痛みが消えなかったり、日常生活に支障があったりする場合は、手術が検討されます。
保存療法
◆薬物療法 |
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・非ステロイド性消炎鎮痛薬:急性期の痛みを和らげます。 ・カルシトニン製剤:骨粗しょう症に伴う痛みを緩和する注射薬。 |
◆装具療法 |
急性期にコルセットやギブスで固定して痛みを軽くし、変形が進むのを防ぎます。 |
手術療法
・経皮的バルーン椎体形成術:つぶれた椎骨に針を刺して「骨セメント」を注入。曲がった背骨を矯正・安定させます。
骨粗鬆症(骨粗しょう症)の治療方法
圧迫骨折の再発を防ぐには、その原因になっている骨粗鬆症の治療が必要です。
骨粗鬆症の治療は、食事療法と運動療法が中心。必要に応じて足りない栄養を補う栄養補充薬や骨量を増やす効果のある骨粗鬆症治療薬の薬物療法が行われます。
保存療法
◆薬物療法 |
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-骨粗しょう症治療薬- ・ビスフォスフォネオート製剤:骨が壊れるのを押さえます。 -栄養補充薬- ・ビタミンK剤:骨を作る働きを促します。 ・活性型ビタミンD3製剤・カルシウム製剤:骨からのカルシウムの流出を防ぎ、カルシウムの吸収量を増やします。 |
◆食事療法 |
骨密度を増やす栄養素で、骨を丈夫にします。 ・カルシウム:骨の材料となるミネラル。例)牛乳、小松菜、小魚、乳製品など ・ビタミンD:カルシウムの吸収を良くする。例)サケ、サンマ、椎茸など ・マグネシウム:カルシウムとバランスをとりながら骨を丈夫にしている。例)ひじきなどの海藻類、ナッツ類、ごまなど |
◆運動療法 |
骨に負荷をかけることで、骨の形成を促進します。 ・ウォーキング ・簡単なストレッチや体操 |